
- 15 Tue. 2019up OTHER BEPPU NEW STANDARD あたらしいみやげもの ベップからはじまるあたらしいニッポン
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お客さんの手元に直接届けるというスタイルで1本1本送り出す。1948年創業の醤油と味噌の醸造元兼小売店。
今はもうなくなってしまった1枚の写真がある。カトレアの鉢を手に、仲むつまじくみつめ合う両親の写真。「今になって親父の言葉を思い出す」という長男の義よし實みさん。お父さんは明治生まれの1本筋の通った気骨のある人で「お客さんに感謝される商売をしろ」、「世のため、人のためにせよ」と義實さんたち兄弟にいつも言い聞かせていたそうだ。そんな仕事に厳しいお父さんがカトレアの花を手ににっこり笑っている姿をみて、改めてお父さんの言葉について考えた兄弟は、ずっと名前のなかった甘い特別な醤油に「カトレア醤油」という名前をつけた。
思い出の写真に映るカトレアが彩るラベル
「フジヨシ醤油の見学のとき、麹を顕微鏡で見せてもらったのが心に残りました」。近くの小学生から届く社会見学のお礼の手紙で埋め尽くされた壁を眺める2人の兄弟。この店をずっと支えてきた義實さんと二男の喜八郎さん。
フジヨシ醤油は両親が終戦後、熊本の学校に通っていた喜八郎さんの卒業を待って開店した。「両親は昔、米を商っていて、味噌を作ってくれって頼まれたりしていたから、その経験を生かして醤油屋を始めたんですよ。親父は家族みんなで働くのが理想だったそうで、まだまだ勉強したかったけど、『カエッテコイ』って電報が来たので」と喜八郎さん。
左から長男の義實(よしみ)さん甥の平八郎さん 二男の喜八郎さん
喜八郎さんお手製の器具が並ぶ研究室
配給された大豆を使って少しずつ醤油を作っては小さな瓶に詰め、兄の義實さんが竹かごを括りつけた自転車で、1本1本別府市内中売り歩いていたそうだ。重たいペダルを踏み緩い坂道を登って、お得意さんの勝手口まで醤油を届ける。にこやかな醤油屋さんを常連さんは大変かわいがってくれ、世間話や味の感想、困ったことなど、色んな話を聞かせてくれた。一方、喜八郎さんは学校で学んだ知識を活かそうと、いつも美味しい醤油を作るためにはどうすればいいか考え、温度や湿度を管理する機械を発明し、蔵の近くに泊まり込んでは異変があると飛び起きて蔵へと走っていったという。そのころ作った手作りの保温機や分析装置は今も現役なんだとか。
義實さんがお客さんの声を聞いて、喜八郎さんがより良い醤油になるよう研究する。繰り返すうちに、お客さんがお客さんを呼び次第に忙しくなっていった。幼かった兄弟も手伝いができるようになり、総勢7人の兄弟みんなで夜中まで大豆をすりつぶすこともあったという。
それから時は流れ、まちの醤油屋さんには7人の兄弟だけでなく、それぞれのお嫁さんやお婿さん、そのまた子どもも集まった。お客さんの手元に直接届けるという、義實さんが始めたスタイルは今も変えず1本1本送り出す。
「カトレアの花を見るとフジヨシ醤油のことを思い出す」と、別府を離れたお客さんがニューヨークから写真を届けてくれたり、カトレア柄のティーセットをお土産に持って来てくれたりと、愛情込めて作られていることはお客さんにも伝わっている。「お父さんの夢が叶ったのは、本当にお客様のおかげです」という、兄弟の姿をご両親も喜んでいることだろう。
現在はトラックやバイクで1軒1軒届けている
飲食店などからオリジナル醤油のオーダーも受けている
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