食べる

勝太郎食堂

鉄輪の小さな食堂の朝は早い。8時半から営業している「勝太郎食堂」は、湯治場の情緒が残る「いでゆ坂」の途中にある。

鉄輪のいえ 

鉄輪の小さな食堂の朝は早い。
8時半から営業している「勝太郎食堂」は、湯治場の情緒が残る「いでゆ坂」の途中にある。鉄輪では、昔から治療や療養を目的に1週間から1ヶ月ほど温泉に浸かってゆったりとした時間を過ごす「湯治」という文化があり、今も湯治場として愛されている。「この間も、湯治に来てた99歳のお客さんが朝ご飯に食べに来たんや」 と店主のヒサ子さん。90歳を超えるお客さんは珍しくなく、杖なしで元気に歩く人もいるという。

「お店で働き始めたばかりのころはお客様をお待たせしないように一生懸命やったわ」ご飯を手に取り、あんこをのせて両手をくるくると動かすと、あっという間に大きなおはぎが出来あがった。
「5分で20個。前にね、私が作るとこを見てたお客さんが、時間計って教えてくれたわ」ヒサ子さんは、大家さんが始めたこのお店で、友人に誘われて働き始めて約30年。6年前に店を継いでからは姉妹である益美さん、利子さんと一緒に3人で店を切り盛りしている。

こぶし大の名物おはぎ(150円)は甘さ控えめで、ぺろりと食べられてしまう

お茶の間のような雰囲気の店内の壁には、大衆演劇の役者さんの写真やポスターが所狭しと飾られていた。大衆演劇場「ヤングセンター」が隣にあるため、ファンのお客さんが写真を飾っていくのだという。ちなみに益美さん、利子さんもファンで、お店の前を役者さんが通ると、良い香りがするからすぐにわかるのだとか。

話を聞いている間にも、次から次へと人が絶えない。
名物おはぎを買いにくる人はもちろん、カウンターに腰掛けてお茶を飲みながら益美さんと世間話をするご近所さんも。湯のみの隣には、やっぱりおはぎ。
「昔はここで知り合って結婚した人や、旅行友達が出来た人もいるんよ。お店の中では、人と人の間に垣根がないんよ」。
先日、野菜を持って来てくれた1人暮らしのおじいさんには、帰るときに酢の物にして渡してあげたのだそう。
「何種類か味付けを作って、どれがいいか聞いたりしてね。おかずがあったらうれしいでしょう」
人情味溢れる店内では、今日も心温まる交流が生まれている。
「あの人しばらく来ないなぁって言っていると、次の日に来たりね」噂せんといけんわぁ、と笑う。
ころんとした愛らしいおはぎと、ヒサ子さんたちの笑顔に会いたくて、訪れる旅人は鉄輪の家に帰るようにここを訪れるのだろう。

長女のヒサ子さん

住所
別府市鉄輪風呂本2組 
TEL
0977-66-4748 
営業時間
8:00~18:00 定休日:毎月末日(ヤングセンター休業日に連動する場合あり) 

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