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松下金物店

昭和の初め、当時流行の最先端の建物だったんだよ、古めかしいタイル貼りの建物の中、鍋や金物だけでなく、陶器の湯たんぽや昭和の雰囲気が漂う電化製品など、様々な時代の雑貨が並ぶ「松下金物店」

僕らの秘密基地 

 昭和の初め、それまで浜脇にあったお店を流川通りに移したのは松下さんのおじいちゃん。港の前の通りには大小あまたの旅館が立ち並び、船を下りた観光客が温泉を楽しんでいた。
「東京や大阪から最先端の流行に身を包んだお洒落な人がたくさん来ていた。文士やお金持ちも多くて豪華な別荘や西洋風の洒落た建物がたくさんあったんだ。このお店も流行の最先端の建物だったんだよ」と古めかしいタイル貼りの建物の中を見せてくれたのは、ここで生まれ育ったご主人の松下さん。

 船で大阪から荷物が届くと従業員が引く荷車を後ろから押すのが役目。だけど、前の通りに出ると何人も同級生がいるから、手伝いもそこそこに毎日のように遊んでいた。

3階へと続く急な階段と商品保管用の棚

 車なんてほとんど通らなかったから、たまに来る木炭自動車をやり過ごしては道の真ん中でおにごっこ。吹き抜けに荷物運搬用の滑車や急勾配の階段、暗くて先が見えなくなるほど続く棚、探検気分を味わえる松下金物店の店内は格好の遊び場だった。うっかり立てかけてある材木を倒してしまって、友達と大慌てで元に戻して、そしらぬ顔で遊びに戻る。
秘密基地と定めた倉庫は、隠れる場所には不自由しない。かくれんぼの鬼に見つからぬよう、棚陰に隠れた1人の時間にポケットの中から宝物を取り出して眺めていた。港で船を見送るときに使う色とりどりのテープに、進駐軍の米軍兵がくれた良い匂いがするチューインガム。少し噛んではしまい込んで何日もかけて大事に味わった。

荷物の上げ下ろしをしていた滑車

 「ま~だだよ」今でも少年のころの松下さんが暗がりに息をひそめて鬼から身を隠していそうな棚。鍋や金物だけでなく、陶器の湯たんぽや昭和の雰囲気が漂う電化製品など、様々な時代の雑貨が並ぶ。
「古いもの好きな人がたまに来てたくさん買っていかれるんです」。
ここに辿り着いたときから時が止まったままの品々は松下さんの笑顔に見守られながら、静かに時を重ねていた。

ここに来たときのまま、眠り続ける商品

住所
〒874-0944 大分県別府市元町1−22 
TEL
0977-24-0128 

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